業務効率化のアイデア15選|中小企業の事務ですぐ試せる例とAIの頼み方

業務効率化のアイデア15選として、事務ですぐ試せる例とAIへの頼み方を解説する記事のアイキャッチ

「業務効率化のアイデアを出すように言われたが、何から考えればよいか分からない」「ツールを入れたのに、仕事が減った気がしない」「AIで楽になる仕事が思い浮かばない」。こうした悩みは、今の仕事のどこに時間がかかっているかを見ないまま、道具からアイデアを探すと起きがちです。

この記事では、自治体や医師会、税理士、上場企業などで5,000人以上にAI研修を行ってきたメイカヒットが、事務ですぐ試せる業務効率化のアイデア15と、考える順番を解説します。この記事を読むと、自社で最初に試すアイデアと、AIへの頼み方が分かります。

記事監修者

久保田 亮(株式会社メイカヒット代表)
AI研修 のべ5,000人

久保田 亮|株式会社メイカヒット 代表取締役

【経歴・実績】
・自治体・医師会・税理士法人・上場企業などで、のべ5,000人にAI研修
・某教育委員会でAIコーディネーターとして活動中
・マーケターとして500社以上と取引
・元テレビ局の報道記者(5年)
・AIハッカソンで世界1位の実績あり(事業計画ツールを作成)
・AIとマーケティングが学べるサロン「メイカラ」主宰

目次

業務効率化のアイデアは「やめる・まとめる・変える・簡単にする」の順で考える

業務効率化とは、仕事の成果を変えずに、かかる時間や手間を減らす取り組みです。業務効率化のアイデアを出しやすくするには、道具を選ぶ前に、今の仕事を4つの見方で見直してください。

順番は「やめる」「まとめる」「順番や担当を変える」「簡単にする」です。業務改善でよく使われる「ECRS(イクルス)」という考え方を、事務の言葉に直しました。ECRSは、なくす・まとめる・入れ替える・簡単にするを表す英語の頭文字です。

見方自分に問いかけること事務での例
やめるこの仕事がなくなると、だれが困るか読まれていない報告書をやめる
まとめる同じことを何回もしていないか毎日の小さな確認を、週1回にまとめる
順番や担当を変えるどこで待ち時間が生まれているか作り込む前に、方向だけ先に確認してもらう
簡単にする毎回ゼロから作っていないか返信や書類をひな形から作る

この順番には理由があります。やめられる仕事を先に見つければ、その仕事をまとめたり簡単にしたりする手間がいらなくなるからです。AIに頼むのは、4つの見方で見直したあとに残った作業の下書きです。

業務効率化のアイデアを、やめる、まとめる、順番や担当を変える、簡単にする、残った作業をAIで下書き、の5段の順番で考えることを示した図

AIを使う前に仕事から見直す理由は、公的な調査からも読み取れます。中小企業庁の2026年版中小企業白書では、AIの活用に取り組んでいる事業者は全体で約3割でした。AIを業務で使っていない理由で最も多い答えは、「活用する業務がイメージできていない」です。白書のこの2つの図は、帝国データバンクの「令和7年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」をもとにしています。

業務効率化のアイデアを探す前に、時間がかかっている仕事を見つける

アイデアは、時間がかかっている仕事から探すと、効果を確かめやすくなります。まずは次の7つに当てはまる仕事がないか、事務の仕事を1つずつ見てください。

  • 同じ内容を2か所以上に入力している
  • 毎回ゼロから文章や書類を作っている
  • 特定の人に聞かないと進まない仕事がある
  • 社長や上司の確認待ちで止まる仕事がある
  • 読まれているか分からない報告や資料がある
  • 新しく入った人に、毎回同じ説明をしている
  • 書類やデータを探す時間がよくある

当てはまった仕事は、1週間にかかる時間を数えます。数え方は「回数×1回の時間×かかわる人数」です。下の表は書き方の例で、数字は説明のために作ったものです。

仕事数え方1週間の時間
定例会議1時間×週1回×6人6時間
受注の台帳への入力1時間×週5日×1人5時間
同じ質問へのメール返信10分×週20通×1人約3時間20分

会議のように人数が多い仕事は、1回が短くても合計が大きくなります。仕事の洗い出しから始めたい方は、業務の見える化と棚卸しのやり方で、棚卸し表の列のひな形を詳しく解説しています。

すぐ試せる業務効率化のアイデア15(仕事別)

事務の仕事で試しやすい業務効率化のアイデアを、5つの仕事に分けて15個並べました。どれも、大きなシステムを入れなくても始められるものです。表の「見方」は、1つ目の章の4つの見方のどれに当たるかを示しています。

この章で分かること

・電話と問い合わせのアイデア
・会議と報告のアイデア
・書類と入力のアイデア
・社内の情報と引き継ぎのアイデア
・確認と承認のアイデア

それぞれ見ていきましょう。

電話と問い合わせのアイデア

電話と問い合わせは、同じ質問への答えをそろえるだけで、受ける人の手間が減ります。答えが人によって変わるのも防げるやり方です。

アイデア見方AIに任せられる部分
1. よくある質問と答えを一覧にし、ホームページに載せる簡単にする過去のメールから質問を種類ごとに分け、答えの下書きを作る
2. 電話の伝言を「相手・用件・折り返し・期限」の形にそろえる簡単にする走り書きのメモを、決まった形の伝言に整える
3. メールの返信をひな形から作る簡単にする届いたメールに合わせて、ひな形から返信の下書きを作る

お客さまに送る前の確認は、人の仕事として残してください。返信の頼み方は、問い合わせへの返信をAIで下書きする方法で詳しく解説しています。

会議と報告のアイデア

会議は、報告だけの議題をやめると短くなります。集まって決める話と、読めば済む話を分けるのが出発点です。

アイデア見方AIに任せられる部分
4. 報告だけの議題をやめ、前日までに書いて共有するやめる各自の報告を読み、要点を3行にまとめる
5. 議事録を録音から作る簡単にする文字起こしから、決まったこと・担当・期限の下書きを作る
6. 日報の項目をそろえ、週1回まとめて読むまとめる1週間分の日報を、社長向けのまとめにする

議事録の道具の選び方はAI議事録ツールの選び方で、日報の頼み方は日報をAIで集計・要約する方法で紹介しています。

書類と入力のアイデア

書類と入力では、同じ内容を2回書かない形にするのが近道です。写す回数が減れば、写し間違いも減る計算です。

アイデア見方AIに任せられる部分
7. 同じ内容を2か所に入力するのをやめるやめる注文のメールから、台帳の列に合わせて項目を抜き出す
8. 請求書を見積書から作るまとめる見積書と請求書を見比べ、違うところを挙げる
9. 書類の名前と保存場所の決まりを作る簡単にするファイルの名前の付け方の案を出す

金額や数量の確定は、人が行う前提にしてください。請求書の確認の頼み方は、請求書をAIで作成・確認する方法で詳しく解説しています。

社内の情報と引き継ぎのアイデア

社内の情報は、1か所に集めて書いておくと、同じ説明をくり返さずに済みます。特定の人が休んでも、仕事が止まりにくい形です。

アイデア見方AIに任せられる部分
10. 新しく入った人への説明を手順書にする簡単にする説明の録音から、手順書の下書きを作る
11. 社内でよく聞かれる質問の答えを1か所に集めるまとめる質問と答えを種類ごとに分けて一覧にする
12. 1人しかできない仕事を、2人で回せるようにする順番や担当を変える手順を聞き取るための質問を作る

手順書づくりはマニュアル作成をAIで進める方法で、仕事が1人に集まる悩みは属人化を解消する手順で詳しく扱っています。

確認と承認のアイデア

確認と承認は、AIより先に、だれが何を決めるかを決めると速くなります。資料や返信をAIで速く作れても、確認を待つあいだは仕事が止まるからです。

アイデア見方AIに任せられる部分
13. 社長が確認する仕事の範囲を決める順番や担当を変える少ない(決めるのは人)
14. 承認の依頼を、決まった時間にまとめて出すまとめる依頼の中身を、判断に要る項目だけの形に整える
15. 作り込む前に、方向だけ先に確認する順番や担当を変える骨組みの案を短く出す

当社では、AIで作る時間が短くなった今、仕事の遅れは迷いと判断待ちから生まれやすいと考えています。15個のうち13番と15番は、AIを使わなくても今日から始められます。

このほか、1人でできる工夫も効率化の1つです。たとえば、メールを読む時間を1日2〜3回に決めたり、よく打つ言葉をパソコンの辞書に登録したりするやり方です。ただし、ほかの人の手間は減らないため、この記事では会社の仕事を見直すアイデアを中心にしました。

AIを使った業務効率化のアイデアと頼み方

AIに向いているのは、下書き・要約・分類のように、人が最後に確かめられる作業です。先ほどの白書でも、AIに取り組んだ事業者の使い方は、業種を問わず「文書作成、要約、校正」に関する回答が多い傾向でした。ここで紹介するのは、仕事の一覧を渡してアイデアを出させる頼み方です。AIで業務効率化を進める順番と効果の測り方は、生成AIで業務効率化する方法で詳しく解説しています。

仕事の一覧を渡して、アイデアを表で出させる

AIには、仕事の一覧と1週間の時間を渡し、4つの見方で分けた表にしてもらいます。下の頼み方の材料は、説明のために作った架空の例です。当社のお客さまの事例ではありません。

頼み方の例
社員12人の会社の、事務の仕事の一覧です。この中から、業務効率化のアイデアを出してください。

【仕事の一覧(1週間あたり)】
・電話の取り次ぎと伝言メモ(毎日、合わせて約5時間)
・受注をExcelの台帳に手で写す(毎日、約1時間)
・週1回の定例会議(1時間・6人。資料は前日に担当者が作る)
・お客さまからの同じ質問へのメール返信(週に約20通)
・月末の請求書づくり(見積書を見ながら手で作る。約6時間)
・新しく入った人への説明(毎回、口頭で同じ話をしている)

【条件】
・それぞれの仕事を「やめる」「まとめる」「順番や担当を変える」「簡単にする」のどれで効率化できるかに分けて、表にする。
・表の列は「仕事」「分け方」「アイデア」「AIに任せられる部分」の4つ。
・AIに任せられる部分は、下書き・要約・分類など、人が最後に確かめる形で書く。お金の確定・お客さまへの送信・判断は人が行う前提にする。
・どの仕事から始めるとよいか、順番と理由を3行以内で書く。
・分からないことや、決めるのに足りない情報は、推測で埋めず、最後に質問の形で並べる。

最後の条件は、AIが分からないところを推測で埋めないようにするためです。この頼み方を、Claudeの前の話の流れがない新しい会話で、2026年11月に1回実行しました。

出力の例と、使うときに見るところ

出力は3つに分かれていました。6つの仕事を分けた表と始める順番、9つの質問です。下は、表の6行のうち2行と、始める順番・質問の一部を抜き出したものです。

出力の例(表6行のうち2行と、始める順番・質問の一部を抜粋)
仕事:受注をExcelの台帳に手で写す(週 約5時間)
分け方:簡単にする
アイデア:受注の入口(メール・FAX・フォームなど)を受注フォームにそろえ、台帳に自動で入るようにする。手で写す作業そのものをなくす方向で考える。
AIに任せられる部分:注文メールやFAXの画像から、品名・数量・納期などを読み取って台帳の形の下書きにする。金額・数量・納期の確定と台帳への登録は人が確かめてから行う。

仕事:月末の請求書づくり(月 約6時間)
分け方:簡単にする
アイデア:見積書と請求書を同じ仕組み(請求書ソフトなど)で作り、見積から請求書に変換できるようにする。手で写し直す作業をなくす。
AIに任せられる部分:見積書と受注台帳を突き合わせて請求書の下書きを作る。数字の食い違いや請求漏れの候補を一覧にする。金額の確定と、お客さまへの送付は人が行う。

始める順番
2. 受注の転記 → 請求書づくり:入口のデータを整えると請求書も楽になり、写し間違いも減るため。この2つは続けて取り組む。

決めるのに足りない情報(質問)
2. 受注はどんな形で届きますか(メール・FAX・電話・紙など)。1日に何件くらいありますか。
8. 社内でAIツールを使ってよい決まりはありますか。お客さまの情報をAIに入れてよい範囲はどこまでですか。

出力の表は、そのまま採用せずに下書きとして読みます。先に見てほしいのは、最後に並んだ質問の部分です。受注の届き方やAIを使ってよい範囲は、社内で答えを決めてからでないと、アイデアを選べません。

AIの分け方が、本文の表と違うこともあります。分け方の名前より、アイデアの中身が自社に合うかで選んでください。

質問に答えたら、同じ会話に答えを書き足し、表を作り直してもらいます。この往復を1〜2回くり返すのが、自社の事情に合ったアイデアに近づく方法です。

業務効率化のアイデアを試す3つの手順

アイデアは、1つずつ小さく試してから社内に広げると、失敗しても戻しやすくなります。手順は次の3つです。

この章で分かること

・手順1:週の時間で1つ選ぶ
・手順2:2週間だけ試して、時間を記録する
・手順3:うまくいったら、社内の決まりにして残す

それぞれ見ていきましょう。

業務効率化のアイデアを、週の時間で1つ選び、2週間だけ試し、決まりにして残す、という3つの手順を左から右へ示した図

手順1:週の時間で1つ選ぶ

最初の1つは、1週間の時間が長く、社外に出ない仕事から選びます。会議や社内の報告がその例です。お客さまに届くものとお金が動くものは、2つ目以降に回します。間違えたときの影響が大きいからです。

手順2:2週間だけ試して、時間を記録する

試す期間を2週間と決め、始める前と試したあとの1週間の時間を同じ数え方で記録します。困ったことや、元のやり方に戻したくなった場面もメモしておきます。期間を決めておくのは、合わないアイデアを早めにやめるためです。

手順3:うまくいったら、社内の決まりにして残す

時間が減ったアイデアは、手順と確認する人を書いて社内の決まりにします。書いておかないと、担当が替わったときに元のやり方へ戻りがちです。

当社が勧めているのは、仕事の入口と出口は人が決め、途中の作業をAIに任せる分け方です。どこまで任せるかの考え方は、業務自動化で任せる範囲の決め方で詳しく解説しています。

業務効率化のアイデアでつまずきやすいところ

業務効率化のアイデアは、試し方を間違えると、かえって手間が増えることがあります。よくあるつまずきは、次の4つです。

この章で分かること

・道具を先に選ぶ
・一度に全部を変える
・お客さまに出すものをAIに任せきる
・減った時間を数えない

それぞれ見ていきましょう。

道具を先に選ぶ

道具を先に選ぶと、道具に合わせて仕事を作り直すことになりがちです。まず4つの見方で仕事を見直し、残った作業に合う道具を選んでください。

一度に全部を変える

いくつものアイデアを同時に始めると、どれが効果を出したのか分からなくなります。現場の人も新しいやり方を覚えきれません。1つが定着してから次に進むほうが、結果として早く進みます。

お客さまに出すものをAIに任せきる

お客さまへの返信や請求書は、AIの下書きを人が確かめてから出します。AIはもっともらしい間違いを書くことがあるからです。お客さまの個人情報を入れるときの注意は、個人情報保護委員会が2023年6月に出した生成AIサービスの利用に関する注意喚起で確かめられます。

減った時間を数えない

時間を数えないと、続けるかやめるかを決められません。2週間の試しの前とあとで、同じ数え方で記録してください。減らなかったアイデアは、やめると決めるのも業務効率化の一部です。

業務効率化のアイデアに関するよくある質問

業務効率化のアイデアが社内から出ないときは、どうすればよいですか?

仕事の一覧を先に作り、1つずつ「やめられないか」「まとめられないか」と問いかけてください。白紙からアイデアを募るより、具体的な仕事を前にしたほうが意見が出やすくなります。

事務の業務効率化は、どの仕事から始めればよいですか?

1週間の時間が長く、社外に出ない仕事から始めます。定例会議や社内の報告がその例です。お客さまに届くものは2つ目以降にしてください。

業務改善と業務効率化は、何が違いますか?

この記事では、仕事のやり方を見直す取り組み全体を業務改善、そのうち時間や手間を減らすことを業務効率化と呼んでいます。どちらも、今の仕事を見直すところから始める点は同じです。

AIを使わない業務効率化のアイデアもありますか?

あります。報告だけの会議をやめる、社長が確認する範囲を決めるといったアイデアは、AIを使わずに始められます。AIは、見直したあとに残った作業の下書きに使ってください。

社員から業務効率化のアイデアを集めるには、どう聞けばよいですか?

「アイデアを出して」ではなく、「時間がかかって困っている仕事は何か」と聞いてください。困りごとが集まれば、4つの見方でアイデアに変えられます。

まとめ

  • 業務効率化のアイデアは、やめる、まとめる、順番や担当を変える、簡単にする、の順で考える
  • アイデアを探す前に、時間がかかっている仕事を「回数×1回の時間×人数」で数える
  • AIに任せるのは、見直したあとに残った下書き・要約・分類の作業で、確定と送信は人が行う
  • アイデアは1つずつ2週間試し、時間が減ったものを社内の決まりにして残す

まずは今日、事務の仕事を1つ選び、1週間にかかる時間を数えてみてください。

自分の会社ではどの仕事から始めればよいか、次の案内も参考にしてください。

AI研修・AI経営顧問|AIの使い方と社内のルールづくりを一緒に考えます(お問い合わせフォームへ)

メイカヒットでは、企業向けのAI研修と、AI経営顧問を行っています。

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