「ChatGPTに入力した会社の情報は、外に漏れるのか」「入力した内容や履歴は、会社にバレるのか」「うっかり入力してしまったら、何をすればよいのか」。こうした不安が消えないのは、入力した情報の扱いが、プランと設定で変わるためです。
この記事では、自治体や医師会、税理士、上場企業などで5,000人以上にAI研修を行ってきたメイカヒットが、ChatGPTの情報漏洩の事例と防ぎ方を解説します。この記事を読むと、自社で先に決める設定と、入力してしまったときの対処が分かります。
記事監修者

久保田 亮|株式会社メイカヒット 代表取締役
【経歴・実績】
・自治体・医師会・税理士法人・上場企業などで、のべ5,000人にAI研修
・某教育委員会でAIコーディネーターとして活動中
・マーケターとして500社以上と取引
・元テレビ局の報道記者(5年)
・AIハッカソンで世界1位の実績あり(事業計画ツールを作成)
・AIとマーケティングが学べるサロン「メイカラ」主宰
【結論】ChatGPTの情報漏洩は、主に3つの経路で起きる
ChatGPTの情報漏洩は、主に「社員の入力」「共有と設定のミス」「アカウントの乗っ取りと提供側の不具合」の3つの経路で起きるものです。このうち会社が自分で防げるのは、入力する情報の線引き・学習させない設定・アカウントの守り方の3つです。提供側の不具合は会社の側で防げないため、下の図は、会社が手を打てる部分だけを線でつないでいます。

OpenAI(ChatGPTを提供する会社)の公式ヘルプによると、個人向けのプランでは、入力した内容がAIの学習に使われる場合があります。一方で、会社向けのプランとAPI(自社のシステムからAIを呼び出す仕組み)は、既定で学習に使われません(2026年10月13日時点)。
ここからは、入力した情報の扱いと実際の事例を先に説明します。そのあとで、会社に見えるのかという疑問と入力してしまったときの対処、会社での対策に進む流れです。
ChatGPTに入力した情報は、プランと設定でどう扱われるか
ChatGPTに入力した情報の扱いを、次の4つの観点から解説します。
・入力した内容は、AIの学習に使われるのか
・学習させない設定は、どこにあるのか
・一時チャットと削除したチャットは、いつまで残るのか
・ログインなしで使うと、どうなるのか
それぞれ見ていきましょう。
個人向けのプランは、既定で学習に使われる場合がある
個人向けのプラン(無料版と、個人で契約する有料版)では、入力した内容がAIの学習に使われる場合があります。OpenAIの公式ヘルプ「データの使われ方」が、そう説明しています。会社向けのChatGPT Business・Enterprise・Eduと、APIは、既定で学習に使われません。
| 使い方 | 学習への利用(既定) | 利用者ができること |
|---|---|---|
| 個人向けのプラン(無料版と、個人で契約する有料版) | 使われる場合がある | 設定で、学習に使わせないようにできる |
| 一時チャット | 使われない | 履歴に残さず、その場だけで使う |
| ChatGPT Business・Enterprise・Edu | 使われない | 管理者が、ワークスペース(会社用の利用環境)の設定を管理する |
| API | 使われない | 自社のシステムに組みこんで使う |
出典:OpenAI|Enterprise privacyと、先ほどの公式ヘルプ(2026年10月13日時点)
プランの名前と中身は変わる場合があるため、契約の前に公式のページで確かめてください。「学習に使われない」と「情報が保存されない」は別の話、という点にも注意が要ります。
学習させない設定の手順
個人向けのプランでも、設定を1か所変えれば、新しい会話は学習に使われなくなります。手順は次の3つです(※2026年10月現在)。
- 自分のアイコンか名前を押して「設定」を開く
- 「データコントロール」を選ぶ
- 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
先ほどの公式ヘルプによると、OpenAIのプライバシーポータル(データの扱いを申し出る窓口のページ)で「Do not train on my content」を選ぶ方法でも、同じ扱いになります。
この設定を変えても、過去のチャットは履歴から消えません。公式ヘルプは、回答に「よい・よくない」の評価を送ると、その会話は設定にかかわらず学習に使われる場合があるとも説明しています。会社で使うなら、評価のボタンを押さない決まりも足しておくと安心です。
一時チャットと削除したチャットが残る期間
一時チャットは、履歴に残らず、学習にも使われない使い方です。ただし一時チャットの公式ヘルプでは、安全のために最大30日間は写しを保存する場合があると説明されています。
ふつうのチャットを削除した場合も、すぐに消えるわけではありません。チャットの保存期間の公式ヘルプによると、削除したチャットは画面からすぐに消え、OpenAIのシステムからは30日以内に消されます。安全や法律上の義務のために、それより長く残る場合もあります。「消せばなかったことになる」とは考えず、入力する前に判断してください。
ログインなしで使うときの扱い
ログインなしで使った場合も、既定で学習に使われる場合がある点は変わりません。データコントロールの公式ヘルプでは、ログインしていない状態でも同じ名前の設定をオフにできると説明されています。
この設定はブラウザごとに保存されるため、端末やブラウザを変えるたびに設定し直す手間がかかる点に注意が要ります。仕事で使う人は、ログインしたうえで設定を確かめる使い方に統一してください。
ChatGPTの情報漏洩の事例
ChatGPTの情報漏洩の事例を、次の4つの観点から解説します。どれも、当事者の発表か大手の報道で確かめられたものです。
・サムスン電子:社員が社内の情報を入力した
・OpenAIの不具合:他人の履歴の題名が見えた
・アカウントの売買:端末から盗まれたログイン情報
・共有リンク:検索に出る設定で共有された
それぞれ見ていきましょう。
サムスン電子:社員がソースコードと議事録を入力した(2023年)
サムスン電子では2023年4月、技術者が社内のソースコード(プログラムの設計図にあたる文字列)をChatGPTに入力していたと分かりました。ブルームバーグの配信記事(2023年5月)によると、サムスン電子は社内メモで、会社の端末と社内の回線で生成AI(文章や画像を作るAI)を使うのを禁じたと社員に知らせています。
韓国の英字紙コリア・ヘラルドの配信記事は、半導体の部門で3件の入力が見つかり、議事録とソースコードが含まれていたと伝えました。同じ記事は、入力した情報がほかの利用者に漏れたかどうかは不明だとも書いています。
「なぜバレたのか」を調べる人が多い事例ですが、会社がどうやって見つけたかは、どちらの記事にも書かれていません。分かっているのは、入力した情報は外部のサーバーに保存され、取り戻すのも消すのも難しいと会社が懸念した点です。損害賠償についての発表や大手の報道も、当社が確かめた範囲では見つかりませんでした(2026年10月13日時点)。
OpenAIの不具合:他人の履歴の題名が見えた(2023年3月)
2023年3月20日、ChatGPTで、ほかの利用者のチャット履歴の題名が見える不具合が起きました。OpenAIの発表によると、原因は、同社が使っていたオープンソース(公開されているプログラム)の部品の不具合です。
同じ不具合で、特定の9時間に利用していたChatGPT Plusの契約者の1.2%について、支払いに関する情報が見えた可能性があります。見えた可能性があるのは、氏名・メールアドレス・請求先の住所・カードの種類・番号の下4桁・有効期限です。カード番号の全体は見えていない、とOpenAIは説明しました。利用者が気をつけていても、提供する側の不具合は起こりえます。
アカウントの売買:10万台を超える端末からログイン情報が盗まれた(2023年6月公表)
シンガポールのセキュリティ会社Group-IBは、ChatGPTのログイン情報が保存された端末を、闇の取引サイトで101,134台分見つけたと発表しました。Group-IBの発表(2023年6月20日)によると、期間は2022年6月から2023年5月です。
原因は、利用者の端末に入りこんだ、情報を盗むマルウェア(悪さをするプログラム)でした。盗まれた場所は利用者の端末で、ChatGPTの側ではありません。ログイン情報を盗まれると、残っている履歴をまるごと読まれるおそれがあります。Group-IBは、パスワードをこまめに変え、2段階の認証(パスワードに加えて、スマホに届く番号などで本人を確かめる方法)を使うよう勧めました。
共有リンク:検索に出る設定で共有された会話(2025年8月)
ChatGPTには、会話をリンクで人に見せる共有の機能があります。2025年8月には、共有した会話を検索エンジンに見つけてもらう設定を、OpenAIが取りやめたと米テックレーダーが報じました。共有した会話がGoogleの検索結果に出ていると指摘されたのがきっかけです。
共有リンクは、URLを知っている人ならだれでも開けます。社内の情報を含む会話は共有しない、共有したリンクは用が済んだら消す、の2つを決めておくと安全です。
ChatGPTに入力した内容や履歴は、会社にバレるのか
会社が契約したプランを使っている場合は、入力した内容を会社が確かめられる場合があります。会社のアカウントで入力した内容は、会社が読める前提で使ってください。
たとえばChatGPT EnterpriseとEduには、会社がワークスペースの記録を監査のために取り出せる仕組みがあります。Compliance Platformの公式ヘルプによると、取り出せるのはワークスペースのログ(利用の記録)とメタデータ(日時などの付随する情報)です。
会話のメッセージを読む権限を出せるのは、ワークスペースの所有者だけだと説明されています(2026年10月13日時点)。EnterpriseとEduでは、会話の中身まで会社が確かめられる場合があります。
チーム向けのChatGPT Businessは、このCompliance Platformの対象に入っていません。ChatGPT Businessの公式ヘルプでは、メンバーがそれぞれ自分の履歴を持つと説明されています。管理者と所有者も、既定ではメンバーの非公開のチャットをすべては見られない仕組みです。ほかのメンバーに自動で見えることもありません(2026年10月13日時点)。
個人のアカウントの履歴は、会社からは見えないのが基本です。それでも、会社のパソコンや回線の記録から、ChatGPTを開いた事実が分かる場合はあります。隠れて使うより、使ってよい範囲を会社に確かめるほうが、本人にとっても安全です。
ChatGPTに会社の情報を入力してしまったときの対処
会社の情報や個人情報を入力してしまったら、早く動くほど後の手間が減ります。次の5つを、上から順に進めてください。
- 何を入力したかを控える:日時、使ったアカウント、入力した情報の種類を書き出す(消す前に、画面の写しを残す)
- そのチャットを削除する:共有リンクを作っていたら、リンクも消す
- 学習させない設定を確かめる:「すべての人のためにモデルを改善する」がオンなら、オフに変える
- パスワードや認証の情報を入力した場合は、すぐに変更する:入力した文字列は、もう使わない
- 上司か情報管理の担当者に報告する:自分だけで判断せず、会社の決まりに沿って動く
入力したのが顧客などの個人データだった場合は、会社として、国への報告が要るかを確かめます。個人情報保護委員会の漏えい等報告の案内は、報告の対象として4つの事態を挙げています。要配慮個人情報(病歴など、とくに配慮が要る個人情報)を含む場合や、1,000人を超える場合などです。
対象に当たるときは、知ってから概ね3〜5日以内に速報を出す決まりです。当てはまるかどうかの判断は、会社の担当者や専門家に任せてください。入力した本人がすぐに報告できる雰囲気を、ふだんから作っておくのが一番の備えです。
会社で進めるChatGPTの情報漏洩対策
会社で進めるChatGPTの情報漏洩対策を、次の3つの観点から解説します。
・どの情報なら入力してよいか
・どのプランと設定で使うか
・アカウントをどう守り、社員にどう伝えるか
それぞれ見ていきましょう。
入力してよい情報の線引きを決める
最初に決めるのは、入力してよい情報と、入力しない情報の線引きです。個人情報保護委員会は2023年6月2日の生成AIサービスの利用に関する注意喚起で、事業者に2つの確認を求めました。
1つは、個人情報を含む入力が、利用目的の達成に必要な範囲かどうかの確認です。もう1つは、本人の同意なく個人データを入力する場合の確認で、提供する会社がそのデータを機械学習(AIの学習)に使わないかを確かめるよう求めています。
当社では、情報を「入力してよい」「伏せれば入力してよい」「入力しない」の3つに分ける形をおすすめしています。迷ったときは、公開済みの情報か・相手から預かった資料や名簿か・名前や金額を伏せられるかの順に考えてください。

決まりを文書にまとめる手順を知りたい方は、生成AIガイドラインの作り方で詳しく解説しています。総務省と経済産業省のAI事業者ガイドラインは、2026年3月31日に第1.2版が公表されました。自社の決まりを見直すときの土台になります。
会社で使うプランと設定をそろえる
次に、どのプランと設定で使うかを会社としてそろえます。個人向けのプランを使い続けるなら、全員が学習させない設定に変えたかを、画面を見せ合って確かめてください。
会社向けのプランは、既定で学習に使われないうえ、管理者が利用者をまとめて管理できます。先ほどのEnterprise privacyのページでは、保存時と通信時の暗号化や、外部の機関による監査(SOC 2 Type 2)についても説明されています。料金は変わりやすいため、公式の料金ページで確かめてから比べると確実です。
ChatGPT以外の道具も、入力した情報の扱いはプランで変わります。Googleの道具を使っている会社は、Gemini Notebook(旧NotebookLM)の情報漏洩リスクと対策もあわせてご覧ください。
アカウントを守り、社員に伝える
3つ目は、アカウントの守り方と、社員への伝え方です。先ほどのGroup-IBの事例のとおり、ログイン情報は利用者の端末から盗まれる場合があります。パスワードの使い回しをやめ、2段階の認証を全員に設定してもらいましょう。
決まりは、作っただけでは守られません。当社では、実際の画面で設定を変える時間と入力してよい情報を仕分ける演習を、研修に入れる形をおすすめしています。研修で扱うリスク対策の中身は、AI研修で教える情報漏洩と著作権の対策で確かめてください。
入力の線引き表を、AIに作らせる頼み方
入力の線引き表は、たたき台をAIに作らせると早く仕上がります。頼み方に「分からない点は質問として並べる」と入れておくと、AIが推測で埋めるのを防げます。下の例は、説明のために作った架空の会社です。当社のお客さまの事例ではありません。
頼み方の例
あなたは、社内の情報管理の担当者を手伝う役です。次の会社のために、ChatGPTに入力してよい情報の線引き表を作ってください。
■会社
従業員30名の建設会社。社員は ChatGPT の個人向けプランを仕事で使っている。学習に使わせない設定は全員が済ませている。
■出力の形
表を1つ。列は「情報の例」「区分」「理由」「入力するときの伏せ方」の4つ。区分は「入力してよい」「伏せれば入力してよい」「入力しない」の3つから選ぶ。行は6つ。1つのセルは40字以内。
■条件
法律の判断は書かない。この会社の事情が分からず決められない点は、推測で埋めずに、表のあとに「確認したい質問」として3つまで並べる。
この頼み方を、前のやり取りがない新しい会話で1回実行した結果が、次の表です(出力の例・全文)。
| 情報の例 | 区分 | 理由 | 入力するときの伏せ方 |
|---|---|---|---|
| 一般的な工法や建材の調べもの | 入力してよい | 会社や相手先の情報を含まないため | そのままでよい |
| 公開済みの自社の案内文や求人文 | 入力してよい | すでに誰でも見られる内容のため | そのままでよい |
| 施主や元請に送るメールの下書き | 伏せれば入力してよい | 相手の名前や現場が特定されるため | 社名・氏名・住所を「A社」「B様」に置き換える |
| 見積書や工程表の文面の整え直し | 伏せれば入力してよい | 金額や現場名から取引が特定されるため | 現場名は記号に、金額は仮の数字に変える |
| 社員や職人の名簿、給与、健康の情報 | 入力しない | 本人に不利益が及ぶおそれが大きいため | 伏せても入力しない |
| 図面や契約書など相手から預かった資料 | 入力しない | 相手の了承なしに外へ出せない情報のため | 伏せても入力しない |
出力の例(表のあとの部分)
確認したい質問
1. 元請や施主との契約に、預かった情報を外部のサービスに入力することについての取り決めはありますか。
2. 社員が使っているアカウントは、会社のメールアドレスで作ったものですか、個人のものですか。
3. 見積金額や原価は、仮の数字に変えれば入力してよい扱いにしますか、一切入力しない扱いにしますか。
出てきた表は、そのまま社内の決まりにはしないでください。最後の質問に自社の答えを書きこみ、取引先との契約と照らしてから、担当者が仕上げます。
ChatGPTの情報漏洩に関するよくある質問
まとめ
最後に、ChatGPTの情報漏洩の要点を5つにまとめました。
- 情報漏洩は主に、社員の入力、共有と設定のミス、アカウントの乗っ取りと提供側の不具合の3つの経路で起きる
- 個人向けのプランは既定で学習に使われる場合があり、会社向けのプランとAPIは既定で使われない
- 学習させない設定は「設定」の「データコントロール」にあり、削除したチャットもOpenAIのシステムからすぐには消えない(30日以内。それより長い場合もある)
- 入力してしまったら、控える・消す・設定を確かめる・パスワードを変える・報告する、の順に動く
- 会社は、入力の線引き、プランと設定、アカウントの守り方の3つを先に決める
まずは今日、自分のChatGPTの「データコントロール」を開き、学習させない設定がどうなっているかを確かめてください。会社としてどこから手をつければよいか迷う方は、次の案内も参考にしてください。

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