自治体の生成AI活用事例15選|行政業務での活用内容・導入課題・成功のポイントを徹底解説!


近年、生成AIの活用が自治体でも急速に広ががっています。
行政業務に生成AIを取り入れることで、職員の業務負担を軽減し、行政サービスの向上につながっています。

一方で、「どの業務で活用できるのか」「導入時の課題は何か」といった点が分からず、導入を検討している自治体も少なくありません。

この記事では、横須賀市やつくば市、神戸市など全国15自治体の生成AI活用事例を紹介します。さらに、自治体業務での具体的な活用パターンや導入時の課題、成功したポイントについても解説します。

この記事を読めば、自治体における生成AIの具体的な活用方法や導入のポイントを理解し、自庁でのAI導入のヒントが得られるでしょう。

生成AIを自治体業務に活用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

記事監修者

AI研修実績4,000名超え

久保田 亮-株式会社メイカヒット代表

【経歴・実績】
・4,000人以上へのAI研修実績
・Gensparkアンバサダー
・マーケターとしての取引企業200社以上
・マーケティング/広報顧問累計6社
・自社メディアでの販売実績10億円以上
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田中 凌平-株式会社メイカヒット代表

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・AIを活用し生産性300%向上
・日本インタビュー協会認定インタビュアー
・年間150名以上の取材実績
・ラグジュアリーブランドで5年勤務

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目次

自治体で生成AI活用が注目される背景

自治体で生成AI活用が注目される背景は以下の3つです。

・自治体DXと生成AIの関係
・行政業務の課題とAI活用の必要性
・自治体における生成AI導入の現状

それぞれ見ていきましょう。

自治体DXと生成AIの関係

自治体DXの推進において、生成AIは業務改革を支える重要な技術として注目されています。

DXはデジタル技術を活用して行政サービスや業務の進め方を変革する取り組みです。生成AIは文章作成や情報整理などの業務を支援できるため、DXの実行手段として活用されています。

自治体DXを進めるうえで、生成AIは業務効率化とサービス向上を同時に実現するツールといえるでしょう。


行政業務の課題とAI活用の必要性

自治体では、業務量の増加や人材不足により、従来の業務体制では対応しきれない状況が生まれています。

議事録作成や文書作成、問い合わせ対応など、多くの事務作業が職員の負担となっているのが現状です。事務作業の効率化を進める手段として、生成AIの活用が注目されています。AIを活用することで定型業務の負担を軽減でき、業務の効率化が期待できます。

AIを活用することで、職員は政策立案や住民対応といった重要な業務により多くの時間を割けるようになるでしょう。


自治体における生成AI導入の現状

多くの自治体で生成AIの導入や実証実験が進んでいます。

議事録の要約や文書作成支援、問い合わせ対応など、比較的リスクの低い業務から活用が始まっています。また、ガイドラインを整備し、安全な運用を前提に段階的に導入する自治体も増えています。

行政業務の効率化とサービス向上を目指す動きが広がっているといえるでしょう。

各自治体のAI活用一覧

以下では、自治体のAI活用事例をまとめています。導入する際の参考に、ぜひご覧ください。

自治体主な活用内容期待される効果
横須賀市ChatGPTを職員業務で利用(文章作成・要約・アイデア出し)業務時間の削減、文書作成の効率化
神戸市ChatGPTの実証実験を実施行政DX推進、業務効率化
南陽市生成AIのプロンプト集を公開し庁内で共有職員のAI活用促進、業務ノウハウ共有
つくば市AIを活用した行政サービスの検討・実証スマートシティ推進、行政サービス向上
福岡市生成AIを活用した業務効率化の実証行政業務の効率化
札幌市生成AIの行政利用に関する検証行政DXの推進
川崎市生成AIによる文書作成・業務支援の検討職員業務の効率化
浜松市生成AIの業務活用に関する実証行政DX推進
千葉市ChatGPTの行政利用実証行政業務の効率化
北九州市AI活用による行政DX推進業務改善・行政サービス向上
横浜市生成AIの庁内利用の検証業務効率化
大阪市生成AI活用の検証・業務活用検討行政DX推進
名古屋市生成AIの行政業務への導入検討業務効率化
東京都生成AIの庁内利用を検証行政DX推進
さいたま市生成AIの業務利用実証業務効率化

①横須賀市:ChatGPTを職員業務で利用し、業務時間の削減、文書作成の効率化

横須賀市は2023年4月、自治体として初めてChatGPTの全庁的な活用実証を開始しました。職員が普段利用しているビジネスチャット「LoGoチャット」とChatGPTを連携し、文書作成や要約、誤字チェック、アイデア創出などに活用しています。

横須賀市の導入の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・約1,913人の職員が利用

・文書作成業務の短縮などにより年間約22,700時間の業務削減効果が試算
・全庁導入で多くの業務パターンを検証

・既存チャットツールから利用できる環境

・個人情報入力禁止などガイドライン整備

②神戸市:ChatGPTの実証実験を実施し、行政DX推進、業務効率化

神戸市ではAIを活用した行政DXを推進しており、道路損傷の検知や水道メーター検針、交通量分析などさまざまな分野でAI技術を活用しています。

神戸市のような取り組みは自治体におけるAI活用事例として広く紹介されています。

神戸市の導入の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・AI画像認識による道路損傷検知

・検針業務の効率化
・行政DXを都市政策として推進

・AI技術を実証実験ではなく業務に組み込み

③山形県南陽市:生成AIのプロンプト集を公開し、庁内で共有、職員のAI活用促進

山形県南陽市は、職員が1年以上実務で使い効果を確認した700種類以上のAI用プロンプトを、市のホームページで無料公開しました。

一番の特長は、使いやすさへの徹底したこだわりです。よくある「テンプレートのPDF」ではなく、Webの入力フォーム形式を採用しています。「目的」や「相手」などの空欄を埋めるだけで、最適な指示文を自動的に作ることが可能です。

利用者は、出力されたプロンプトをChatGPTやGeminiなどのAIツールに貼り付けるだけで、すぐに使えます。

主な成果と成功要因は以下のとおりです

効果成功した理由
・利用者が急増し、定着した(一般公開後の利用者数3729人、プロンプトの生成回数6万1500回。職員の週1回以上利用する割合は半年で18%→38%へ)

・職員の意識と組織の雰囲気の変化

・「プロンプトの壁」が取り除かれたことによる地域全体と全国へ広がる波及効果
・フォームを入力するだけでAIを初めて使う人でも専門知識なしで高い効果を得られる「迷わせない設計」にした

・今まで積み上げ、磨かれた実務ノウハウを「みんなの知識の財産」として公開した

・既存のWEB技術やアクセス解析ツールを用いてお金をかけずに使いながら改善し続ける仕組みを採用し、無理なく継続できる運用を実現した

④つくば市:AIを活用し、スマートシティ推進と行政サービス向上

つくば市は、以下の民間企業と連携し、生成AIを行政業務に活用する取り組みを進めています。

PwCコンサルティング:共同で市役所の全部署(約2,200人)を対象に生成AI活用研修を実施し、適切な利用のためのガイドラインも整備。

株式会社ユードム:連携し、こども未来センターの「相談記録の要約」や幼児保育課の「申請データの不備事項抽出」など、基幹系(個人番号利用事務系)業務でのAI活用を検証。

エムシーデジタル株式会社:市議会議事録などの大量のテキストデータから、市民の要望や行政課題を自動的に抽出・分類・可視化するプロトタイプを構築。令和7年度の事業として実運用が予定。

つくば市の導入の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・「相談記録の要約」業務では、月12〜24時間かかっていた作業が、生成AIにデータを渡すことで数分に短縮された

・「申請データの不備事項抽出とメール作成」では、年間約83〜167時間かかっていた作業が夜間自動処理により実質作業時間がゼロになった

・市議会議事録(1回の定例会で約7万字以上)をAIが分析し、市民の要望や行政課題を高速かつ客観的に抽出できるようになった
・ワークショップやヒアリングを通じて、生成AIの効果が高い業務に絞って導入した

・自動化できる部分はAIに任せ、最終確認は人が行う役割分担を前提にした

・全庁研修とガイドライン整備を同時に進め、職員の知識向上と適切な利用ルールを整備した

⑤福岡市:生成AIを活用した業務効率化の実証で行政業務の効率化

福岡市は、70歳以上の高齢者を対象とした「高齢者乗車券交付事業」において、年間約16万件の申請処理を行っています。繁忙期には区役所窓口に長い待ち行列ができ、職員の事務負担も大きいことが課題でした。

新型コロナウイルス流行をきっかけに、申請方法を郵送とオンライン中心へ切り替え、パーソルビジネスプロセスデザインと連携してAI-OCRとRPAを組み合わせたBPOスキームを構築しました。

手書きの申請書をAI-OCRで読み取り入力作業を削減し、RPAによってオンライン申請の電子交付プロセスを自動化しました。

主な効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・年間約16万件の申請処理をAI-OCRとRPAで効率化し、窓口の混雑緩和と処理時間の短縮につながった

・オンライン申請者の約7割が電子交付(メール受取)を利用し、来庁せずに申請・受け取りが可能になった

・夜間の自動処理により、職員は翌朝の確認作業のみで対応できるようになり業務負荷が軽減された
・AI-OCRやRPAを導入するだけでなく、コールセンター運用や業務フローを含めてプロセス全体を見直した

・高齢者特有の筆跡に対応するため、約1年間AIを学習させAI-OCRの精度を高めた

・リスクが高い部分は人が確認し、自動化できる部分はシステムに任せる役割分担を明確にした

・電話対応や窓口サポートを残し、デジタルと人的支援を組み合わせて運用した

⑥札幌市:生成AIの行政利用に関する検証で行政DXの推進

札幌市は、全職員が安全に生成AIを利用できる環境の整備と、組織的な活用の推進に取り組んでいます。2023年6月に検討を開始し、同年12月に利活用方針や遵守事項をまとめた「生成AIガイドライン群」を策定しました。

2024年3月に全職員を対象としたチャット型生成AI環境を整備し、用途に応じてChatGPTとMicrosoft Copilotを併用できる体制を整えました。

全職員向けの入門・基礎研修(1,000名受講計画)を実施し、週1回の庁内コラムでプロンプトのサンプルを紹介しています。札幌市は継続的なスキル向上にも取り組んでいます。

さらに、市のマニュアルや過去データなどの固有情報を活用した組織的な利用を目指し、2025年に民間事業者への情報提供依頼を実施しました。実証実験と本格導入に向けた検討を進めています。

札幌市の導入の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・検討開始から1年未満で、全職員が生成AIを利用できる環境を整備した

・整備直後(2024年1月〜4月)の利用率は約21.9%となり、係長職では約34.7%が利用している

・文章作成、要約、翻訳、情報整理、コーディング、アイデア出しなどの業務で効率化が確認された
・利用方針や遵守事項をまとめた「生成AIガイドライン群」を早期に策定し、安全に利用できる環境を整えた

・既存のMicrosoft契約を活用し、ガイドライン作成や研修も内製化することで追加コストを抑えた

・研修や庁内コラムを継続的に実施し、職員のリテラシー向上と利用定着を進めた

⑦川崎市:生成AIによる文書作成・業務支援の検討で職員業務の効率化

川崎市は、2025年7月から約1万5千人の全職員を対象に、生成AI「Microsoft365 Copilot Chat」を導入しました。

従来のOffice環境から生成AI機能を備えたMicrosoft365へ移行し、企画のアイデア出し、文書案やアンケート案の作成、文章の要約などの業務効率化を進めています。

主な効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・文書案やアンケート案の作成、会議録の要約、Excelの関数やマクロ作成などの業務で時間短縮と効率化が確認された

・ブレインストーミングや企画立案の場面で、新しい視点やアイデアの獲得につながった

・小学校のICT担当教員の事例では、研修の翌日から通知文作成やPTA資料の要約などで生成AIが実務に活用された
・2024年7月の実証実験(51名)から始め、220名の部分導入を経て全庁導入へ進める段階的な導入を行ったこと

・試行利用後のアンケートで約9割の職員が継続利用を希望し、現場のニーズが高かった

・「川崎市文章生成AI利活用ガイドライン」を策定し、生成AIは補助として利用し最終確認は職員が行うルールを明確にした

・eラーニングや少人数ハンズオン形式の研修を実施し、実務で使えるスキル習得を支援した

⑧浜松市:生成AIの業務活用で行政DX推進

浜松市では、DXメンターを中心とした部局横断のチームがプロジェクトを進めデジタル技術を活用して業務の進め方を見直す取り組みを進めています。

DXメンターの役割は、業務改善によって職員の時間を生み出し、考える余裕や業務を変えるための余力を組織内につくることです。チームで連携しながら、窓口業務などの現場の課題を改善する活動が行われています。

浜松市の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・業務改善により時間と余力が生まれ、現場でPDCAサイクルを回せる環境が整った

・窓口業務の改善により、昼休憩や休憩時間を確保できる職場環境に変化した

・DXメンターを中心に部局間の連携が進み、「縦割り」「前例踏襲」といった組織の壁を越えた協力が生まれた
・改革の前提として「人は減らさない」という方針を示し、職員の環境改善を重視した

・部局横断のチームで取り組み、プロジェクト経験を共有した職員が異動先でも改善を広げた

・組織文化や所属長のマインドを重視し、チーム連携を中心にDX推進を進めた

⑨千葉市:ChatGPTの行政利用で業務の効率化

千葉県内では、約6割の自治体がChatGPTなどの生成AIを業務に導入しています。

主な用途は以下のとおりです。

会議の議事録作成や要約
議会答弁書や市民向け文書の下書き作成
イベント企画のアイデア出し
Excel関数やVBAコードの作成支援

安全に利用できる運用ルール整備のため、個人情報の漏えいや著作権侵害などのリスクを防ぐ独自のガイドラインを各自治体が策定しています。

主な効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・千葉市の実証実験では、文書作成にかかる時間が平均40%短縮され、一部の定型業務では50%以上の効率化が確認された

・議事録作成では、数日かかっていた作業が約1時間に短縮される事例が報告された

・定型業務の負担が減り、職員が市民対応や地域課題の検討などの業務に時間を使えるようになった
・個人情報入力の禁止や事実確認の義務化など、明確なガイドラインを整備して安全に利用できる環境を作った

・千葉市の実証実験、船橋市の人材育成、成田市のLGWAN活用など、各自治体が状況に応じた導入方法をとった

・自治体同士がガイドラインやノウハウを共有し、県内全体で活用と安全運用の知見を広げた

⑩北九州市:AI活用による行政DX推進

北九州市では、AIやデジタル技術を活用して業務効率化を進める以下の複数の取り組みが行われています。

・カーブミラー点検:スマートフォンやタブレットで撮影した画像をAIが分析し、健全度を診断して電子台帳へ自動登録するシステムを導入

・ローコードツール「kintone」を活用:「ローコードツール『kintone』を活用し、職員自身が業務システムを作成する取り組み。保健所の新型コロナ陽性者管理アプリや、老朽空き家除却補助の現地判定アプリなどが開発された

・小倉北区役所の実証実験:AIエージェントによる市民課への24時間電話対応、生活保護関連資料の検索支援、相談記録の自動作成などの業務を検証

主な効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・道路反射鏡の点検では、作業時間が年間640時間→340時間(約47%削減)、費用が年間1,500万円→800万円(約47%削減)となった

・保健所の新型コロナ対応では、応援職員が約100人→約15人となり、外注換算で約5,900万円の経費削減につながった

・市全体で117のシステムが稼働し、年間約49,840時間の作業時間削減が確認された

・小倉北区役所の実証実験では、職員の生成AI利用率が8%→30%程度へ上昇した
・カーブミラー点検ではAIを活用し、点検者の経験に依存しない客観的な診断を可能にした


・kintoneを導入し、現場の職員が自ら業務システムを作成できる体制を整えた


・ハンズオン研修や相談窓口などの支援体制を整え、職員のシステム開発や運用をサポートした

・生成AIを問い合わせ対応や資料検索などの定型業務に活用し、職員が相談対応などの業務に集中できる環境を作った

⑪横浜市:生成AIの庁内利用で業務効率化

横浜市は、NTT東日本の支援を受けて、RAG(検索拡張生成)を活用した生成AIの実証実験を実施しました。2024年11月から2025年3月までで、「選挙管理事務」「権利擁護業務(成年後見制度など)」「データ活用業務」の3分野を対象としています。

庁内に蓄積された法令、業務マニュアル、過去の質疑応答集などのドキュメントをAIに読み込ませました。問い合わせ対応や業務判断に必要な情報を検索・生成できる仕組みが検証可能になりました。

横浜市の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・選挙関連の問い合わせ対応では、事前に用意した質問に対して約9割の精度で回答を生成できた

・自然言語で検索できる仕組みにより、膨大な資料から情報を探す時間が大幅に短縮された

・経験の浅い職員がAIで情報の当たりをつけてから先輩に相談できるようになり、業務対応が迅速になった

・データ分析業務では、調査設計書をもとに分析方針の整理や推奨サンプルサイズ算出の支援が可能であることが確認された
・約3,000件の質疑応答データや約4,500ページの法令・関連資料など、長年蓄積された業務データが存在していた

・NTT東日本がデータクレンジングを行い、AIが読み取りやすいテキストデータへ整理した

・プロンプト設計やパラメータ調整、文書分割などを行い、業務に適した検索・回答精度を高めた

⑫大阪市:生成AI活用で行政DX推進

大阪市は「Re-Designおおさか~大阪市DX戦略~」を策定し、市民サービスの高度化と庁内業務の効率化を目的に以下のAIの活用を進めています。

・2024年4月:水道局や学校園を除く約10,000人の職員を対象に、文章作成・要約・添削・企画案の作成・翻訳などの業務で生成AIの利用を開始

・2024年11月:専門性の高い業務に対応するため、信頼できる外部データベースと連携するRAG環境を整備し、一部業務で検証利用を行う

・PwCコンサルティングなどの外部専門家と連携し、ユースケースの検討やモデル調整、業務トライアルも実施

・会議議事録や窓口での会話をテキスト化するAI文字起こしツールも導入

主な効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・文章作成、要約、企画案作成などの業務で作業時間が短縮され、業務効率化が進んだ

・AI文字起こしツールでは、機器1台あたり月72時間の作業時間削減が見込まれている

・翻訳や文章作成の支援により、業務文書の品質向上が確認された
・情報漏えいや知的財産権などのリスクに対応した「大阪市生成AI利用ガイドライン」を策定した

・職員研修や活用事例の共有を行い、生成AIの理解と活用スキルを高めた

・PwC Japanグループなど外部専門家と連携し、AIガバナンスやデータ整備を進めた

・汎用業務向けAIと専門業務向けRAG環境を用途別に整備した

⑬名古屋市:生成AIの行政業務への導入で業務効率化

名古屋市は、市民サービスの向上と庁内業務の効率化を目的に「名古屋市役所DX」を推進しています。デジタル技術の活用を前提に業務を見直し、市民が利用しやすい行政サービスの提供を進めています。

市民向けの取り組み
・スマートフォンから手続きできる行政手続のオンライン化
・窓口で申請書を書かずに手続きできる「スマート窓口」を導入
・24時間質問に対応する生成AIチャットボット「お助けNAGOT」
・保育所探しから利用申込までをオンライン化したポータルサイト「ここなご」の運用

庁内業務
・生成AIの活用、共通ワークフロー基盤の整備
・紙書類をデータ化するAI-OCR
・RPAによる定型業務の自動化

導入の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・電子申請サービスの申請件数は、令和2年度約8万件→令和6年度約37.8万件へ増加した

・AI議事録作成支援システムで約11,000時間、AI-OCRで約1,100時間の業務時間削減が確認された

・生成AIの利用により、利用者1人あたり1日約11分の時間短縮効果が確認された

・上下水道管の図面と設計書の整合確認は、約350秒→約35秒に短縮された
・各部署にDX推進リーダーを配置し、現場主導で業務改善を進める体制を整えた

・400名以上の職員に実践型のAI研修を実施し、生成AIの活用スキルを高めた

・業務の独自ルールを丁寧に整理し、システムに反映することで実務で使える精度を確保した

⑭東京都:生成AIの庁内利用でDX推進

東京都は、「東京都AI戦略」を策定し、都民サービスの向上と庁内業務の生産性向上を目的にAI活用を進めています。

2023年8月から約5万人の全職員を対象に、Azure OpenAI Serviceなどの文章生成AIの利用を開始しました。2024年4月からは「Microsoft Copilot」の利用も始まっています。

職員が安全にAIを活用できるよう、「文章生成AI利活用ガイドライン」や、34のプロンプトをまとめた「文章生成AI活用事例集」を作成しました。

さらに、専門知識がなくてもAIアプリを開発できる共通基盤として「生成AIプラットフォーム」の構築も進めています。

主な効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・生成AIを利用している職員の約60%〜73%が業務時間の短縮を実感している

・約55%〜63%の職員が業務の質の向上を実感している

・生成AIプラットフォームにより、専門知識がなくても業務に合わせたAIツールを作成できる環境が整備された
・個人情報入力の禁止や学習利用されない環境の整備など、安全な利用ルールを事前に整備した

・職員参加型のアイデアソンを開催し、活用事例を共有した

・AIの得意分野やリスクを整理し、業務ごとの利用リスクを青・黄・赤の3段階で可視化した

・全庁アンケートを実施し、現場の課題を把握して事例集などの改善につなげた

⑮さいたま市:生成AIの業務利用で業務効率化

さいたま市では、以下の行政業務や教育現場でAIを活用する取り組みを進めています。

  1. 保育所入所選考:AIを用いたマッチング技術を導入し、優先順位や希望条件をもとに最適な入所割り当てを自動で判断する仕組みを運用
  1. 市役所業務:「Microsoft Bing AI」や「公務員専用ChatGPT マサルくん」などの生成AIを導入。情報収集、アイデア出し、文章要約などの事務作業を支援。
  1. さいたま産業創造財団:生成AIを活用したナレッジマネジメントシステムの共同研究を行い、約3,000件の過去の経営相談記録を検索・整理して回答を提示する仕組みを検証。
  1. 教育分野:「さいたま市スマートスクールプロジェクト」の中で生成AI活用研究会を設置し、学校現場での活用方法の研究。

導入の効果と成功した理由は以下のとおりです。

効果成功した理由
・保育所入所選考では、約1,500時間かかっていた作業が数十分(一次利用調整:約30分、二次利用調整:約3分)で完了するようになった

・経営相談対応では、平均10分かかっていた回答作成が約1分に短縮される見込みとなった

・生成AI活用により事務作業が効率化され、職員が市民対応や業務改善に時間を使えるようになった

・教育分野では「SAItame(サイタメ)情報サイト」を公開し、授業や校務での生成AI活用事例を共有できる環境が整備された
・保育所入所選考では、実証実験で効果を確認したうえで導入を検討し、実務に適した仕組みを整備した


・生成AI導入にあたり独自のガイドラインを策定し、職員に事前研修を実施した

・約3,000件の相談記録など蓄積されたデータを活用し、AIの検索・要約機能を業務課題に適用した

・教員による研究会や情報共有を通じて、学校現場での活用ノウハウを蓄積した

生成AI活用事例を踏まえた自治体導入のメリット

自治体が生成AIを導入するメリットは以下のとおりです。

・事務作業の時間削減
・職員の知識補完
・住民サービスの向上

それぞれ見ていきましょう。

事務作業の時間削減

生成AIを活用すると、自治体の事務作業にかかる時間を大幅に削減できます。

文章作成や議事録の要約、問い合わせ回答の下書きなどをAIが補助し、職員が手作業で行っていた作業を短時間で処理が可能です。

結果として、定型業務の負担が軽減され、職員はより重要な業務に時間を使えるようになります。


職員の知識補完

生成AIは、職員の知識を補完するツールとしても活用できます。

業務マニュアルや過去の事例を参照しながら回答を提示できるため、経験の浅い職員でも必要な情報に素早くアクセス可能です。

生成AIを導入すれば業務の属人化を防ぎながら判断の質を安定させることができ、組織全体の対応力向上につながります。


住民サービスの向上

生成AIの活用は、住民サービスの向上にもつながります。

問い合わせ対応の効率化やオンライン手続きの支援により、住民は必要な情報をより早く入手できるようになるでしょう。

また、職員が事務作業から解放されることで、相談対応や地域課題への対応など、人にしかできない業務に時間を割けるようになります。結果として、行政サービスの質の向上が期待できます。


自治体導入で注意すべき生成AI活用事例の落とし穴

自治体で導入時に注意すべき点は以下のとおりです。

・情報漏えいとセキュリティ対策
・ハルシネーションへの対応
・職員リテラシーと運用ルール

それぞれ見ていきましょう。

情報漏えいとセキュリティ対策

生成AIを自治体で活用する際は、情報漏えいへの対策が重要です。

個人情報や機密情報を誤ってAIに入力すると、外部へ情報が流出するリスクがあります。

入力可能な情報の範囲を明確にし、ガイドラインやアクセス制御などのセキュリティ対策を整備する必要があります。安全な利用環境を整えることが、継続的な活用の前提といえるでしょう。

h3 ハルシネーションへの対応

生成AIは、事実と異なる情報をもっともらしく生成する「ハルシネーション」が起きる可能性があります。

行政業務で誤った情報をそのまま使用すると、住民対応や意思決定に影響するおそれがあります。特に、誤情報が外部に発信された場合、信頼低下やトラブルにつながりかねません。

AIの回答をそのまま利用するのではなく、必ず職員が内容を確認し、公式情報と照合する運用が必要です。

  職員リテラシーと運用ルール

生成AIを自治体で安全かつ効果的に活用するためには、職員のリテラシー向上と明確な運用ルールの整備が欠かせません。

多くの自治体では、入力してよい情報の範囲や利用時の確認手順などをガイドラインとして定めています。さらに、研修などを通じてAIの特性や活用時の注意点を職員が理解できるようにしています。

ガイドライン整備や職員研修といった取り組みにより、安全性を確保しながら業務効率化を進めることができるでしょう。


生成AI活用事例を参考に自治体が失敗しにくく始める手順

自治体が失敗をできるだけ抑えてAIを導入する手順は以下のとおりです。

小さな業務から試験導入
ガイドラインと運用ルールの整備
全庁展開と教育体制

それぞれ見ていきましょう。

小さな業務から試験導入

自治体が生成AIを導入する際は、最初から全庁で導入するのではなく、小さな業務から試験的に始める方法が効果的です。

議事録の要約や文書の下書き作成など、リスクが比較的低い業務で実証実験を行います。実際の業務で効果や課題を確認しながら改善を重ねることで、安全性を保ちながら導入を進めることが可能です。

段階的な導入は、失敗リスクを抑える方法として多くの自治体で採用されています。

ガイドラインと運用ルール整備

生成AIを安全に活用するためには、ガイドラインや運用ルールの整備が重要です。

具体的には個人情報や機密情報の入力禁止、AIの回答をそのまま利用しないことなど、基本的な利用ルールを明確にします。また、AIの得意分野やリスクを整理し、職員が判断に迷わない環境を整えることも必要です。

ルールを事前に整備することで、職員が安心して生成AIを活用できるようになります。

全庁展開と教育体制

試験導入で効果が確認できた後は、全庁展開と教育体制の整備が重要になります。

職員向け研修や事例共有を行い、生成AIの活用方法や注意点を組織全体で共有します。また、プロンプトの書き方や活用事例を蓄積することで、利用のハードルを下げることが可能です。

教育とサポート体制を整えることで、生成AIの活用が組織全体に広がりやすくなります。


h2 生成 ai 活用 事例 自治体に関するよくある質問

自治体では生成AIをどの業務で活用できますか?

自治体では、議事録の要約、文書作成の下書き、問い合わせ対応の整理、広報文の作成などで生成AIが活用されています。また、アイデア出しや情報整理、翻訳、Excel関数作成の補助などにも利用されています。多くの自治体では、まずリスクの低い事務作業から導入し、業務効率化の効果を検証しながら活用範囲を広げています。

自治体で生成AIを使うと情報漏えいのリスクはありませんか?

生成AIの利用には情報漏えいのリスクがあります。個人情報や機密情報を外部サービスに入力すると、情報が外部に送信される可能性があるためです。そのため自治体では、入力禁止情報の明確化や専用環境の利用、ガイドラインの整備などの対策を行っています。適切なルールと運用を整えることで、安全性を確保しながら活用できます。

自治体が生成AIを導入する際の課題は何ですか?

主な課題として、情報セキュリティ対策、職員のリテラシー不足、運用ルールの整備などが挙げられます。また、AIが誤った情報を生成するハルシネーションへの対応も必要です。そのため、多くの自治体ではガイドラインの策定や研修を行い、AIの得意分野とリスクを理解したうえで段階的に導入を進めています。

自治体で生成AIを導入するには何から始めればよいですか?

多くの自治体では、まず小規模な実証実験から始めています。議事録要約や文書作成などの事務作業で試験導入し、効果や課題を確認します。そのうえでガイドラインを整備し、職員研修を行いながら活用範囲を広げていきます。段階的な導入が、失敗リスクを抑える方法として一般的です。

自治体で生成AIを導入するメリットは何ですか?

主なメリットは、事務作業の時間削減、業務品質の向上、住民サービスの向上です。文章作成や情報整理などの作業をAIが補助することで業務効率化が進みます。また、知識検索やアイデア出しの支援により、職員の判断や企画業務のサポートにも役立ちます。

生成AIはすべての行政業務に使えるのでしょうか?

生成AIは多くの業務で活用できますが、すべての業務に適しているわけではありません。個人情報を扱う業務や、厳密な判断が必要な業務では慎重な運用が求められます。そのため、まずはリスクの低い業務から導入し、適した分野を見極めながら活用範囲を広げることが重要です。

自治体の生成AI活用は今後どのように広がると考えられますか?

今後は、問い合わせ対応や文書作成支援に加え、データ分析や業務支援システムと連携した活用が広がると考えられています。また、自治体専用のAI環境やRAG技術を活用し、庁内データを参照した回答生成なども進んでいます。こうした取り組みにより、行政業務の効率化とサービス向上が期待されています。

生成AI活用事例をヒントに自治体導入の第一歩を踏み出そう

生成AIを自治体業務に導入するうえで重要なのは、自庁に合った活用領域を見極め、安全に運用できる体制を整えることです。

実際に成果を出している自治体は、試験導入、ガイドライン整備、職員研修を段階的に進めながら活用を定着させています。

だからこそ、導入前後に「何から始めるべきか」「どう運用ルールを作るか」「職員にどう浸透させるか」を学ぶことが欠かせません。

生成AIを自治体業務に導入したいけど、何から始めれば良いか分からない
情報漏えいやハルシネーションなどのリスクを理解したうえで安全に活用したい
職員向けの生成AI研修やガイドライン整備を進めたい
行政DXを進めながら業務効率化と住民サービス向上を実現したい

そんな悩みを解決できるのが、メイカヒットのAI研修です!

生成AIの基本理解から自治体業務への活用方法、運用時の注意点までを実務目線で学べます。

久保田 亮

メイカヒットのAI研修では現場に合わせたカリキュラム設計&運用サポート付きだから導入後すぐに効果を実感できます!

メイカヒットのAI研修では、自治体業務を想定した生成AIの活用方法や導入の進め方、運用ルールの作り方などを実践的に学ぶことが可能です。


自治体での生成AI導入を安全かつ着実に進めたい方は、メイカヒットのAI研修をぜひご活用ください。

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