「AI研修に助成金を使いたいが、どのコースが当てはまるのか分からない」「2026年8月から条件が変わったと聞いた」「申請の手順が多くて、どこでつまずくのか心配だ」。AI研修の助成金は、研修を受けたあとに対象外だと分かっても、やり直しがききません。助成の対象になるかどうかは、研修の前に出す計画と研修の中身で決まるからです。
この記事では、自治体や医師会、税理士、上場企業などで5,000人以上にAI研修を行ってきたメイカヒットが、AI研修に使える助成金を解説します。この記事を読むと、使えるコースと助成の額や8月から対象外になった研修、申請の流れが分かります。
記事監修者

久保田 亮|株式会社メイカヒット 代表取締役
【経歴・実績】
・自治体・医師会・税理士法人・上場企業などで、のべ5,000人にAI研修
・某教育委員会でAIコーディネーターとして活動中
・マーケターとして500社以上と取引
・元テレビ局の報道記者(5年)
・AIハッカソンで世界1位の実績あり(事業計画ツールを作成)
・AIとマーケティングが学べるサロン「メイカラ」主宰
AI研修に使える助成金は、人材開発支援助成金の3つのコース
AI研修に使える国の助成金は、厚生労働省の人材開発支援助成金です。全部で7つのコースがあり、AI研修で使いやすいのは次の3つです(※2026年10月現在)。
| コース | 向いているAI研修 | 経費の助成(中小企業) | 賃金の助成(中小企業・1人1時間) |
|---|---|---|---|
| 事業展開等リスキリング支援コース | DX(デジタル技術で仕事の進め方を変えること)のために、自社の業務でAIを使う練習をする研修 | 75% | 1,000円 |
| 人材育成支援コース(人材育成訓練) | 職務に関連した10時間以上の研修全般 | 45%(非正規雇用の社員は70%) | 800円 |
| 人への投資促進コース(定額制訓練) | 定額で受け放題の研修サービス(eラーニングなど) | 60% | なし |
出典:厚生労働省|事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年8月3日版)、人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)
助成率が一番高いのは、事業展開等リスキリング支援コースです。AI研修に使うなら、まずこのコースに当てはまるかを確かめるのが近道になります。大企業は経費の60%、賃金は1時間500円です。

社員にAIの開発やデータ分析の専門の技術を学ばせる研修なら、人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練も候補に入ります。国の技術者向けのスキルの基準でレベル3・4にあたる研修が対象で、資格の取得を目指す課程なら修了後6か月以内に資格試験を受けることが条件です。中小企業なら経費の75%と1時間1,000円の賃金が助成されます(※2026年10月現在)。
リスキリング支援コースと人への投資促進コースは、どちらも令和4〜8年度の期間限定の助成とされています。令和8年度中(2027年3月末まで)に使う予定がある会社は、早めに計画を立ててください。
人材育成支援コースは、期間限定とはされていません。2027年4月以降に研修を行う場合は、リスキリング支援コースが続くかを労働局で確かめ、人材育成支援コースも候補に入れて計画を立ててください(※2026年10月現在)。
2026年8月3日から、AI研修で助成の対象外になった中身
2026年8月3日から、事業展開等リスキリング支援コースで助成の対象になる研修の条件が変わりました。AI研修を予定している会社に関わる変更を、次の3つの観点から解説します。
・仕事を問わない汎用的な研修は対象外
・eラーニングは1年度に1回まで
・8月より前に準備を始めた研修の扱い
それぞれ見ていきましょう。
仕事を問わない汎用的な研修は対象外
受講する人の仕事に直接使わない、汎用的な中身の研修は助成の対象外になりました。厚生労働省の変更点の案内には、AI研修について次の例が挙がっています。
| 研修の例 | 助成の対象か |
|---|---|
| 営業担当者が、生成AIで商品の提案書の構成案を作り、文章を作って直す方法を学ぶ | 対象 |
| 生成AIを使うために、汎用的なプロンプト(AIへの指示文)の作り方を学ぶ | 対象外 |
| DXの考え方や、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ | 対象外 |
分かれ目は、特定の仕事の作業にそのまま使える中身かどうかです。同じ生成AIの研修でも、受講する人の業務の作業でそのまま使える練習なら対象、使い方の一般論なら対象外と考えてください。研修の中身に合わない人が受けた場合も対象外とされています。
文字の入力や書式の変更くらいの、初歩的な操作だけを学ぶ研修も対象外とされています。AIの画面の基本操作だけで終わる研修は、そのままでは助成を受けられないと考えてください。
人材育成支援コースでも、仕事に間接的に必要な内容や職種を問わず誰にでも必要な内容は、以前から対象外です。汎用的なAI研修を、もう一方のコースで申請し直せるわけではありません。
eラーニングは1年度に1回まで
このコースで同じ社員が助成を受けられる研修は、1年度に3回までです。そのうちeラーニングによる研修は、1回までに変わりました。
ほかの形と組み合わせた研修も、eラーニングを含めば1回と数えます。8月3日以降に出した計画届の研修から数えるので、それより前の受講は入りません。8月2日以前に研修会社と契約や申し込みを済ませたeラーニングも、この1回には数えません。
8月より前に準備を始めた研修の扱い
8月2日以前に計画届を出した研修は、これまでの決まりで審査されます。計画届が8月3日以降でも、研修会社との契約や申し込みを8月2日以前に済ませていれば、汎用的な研修の扱いは前の決まりのままです。
自社で開く研修では、講師の謝金など研修の経費の契約や発注を8月2日以前にしていれば、同じ扱いになります。契約書や申込書など日付が分かる書類を計画届に添え、くわしい条件はこのコースの支給要領の経過措置で確かめてください。
助成の対象になるAI研修の組み立て方
8月からの条件で助成を受けるには、研修の中身を受講する人の仕事に合わせて組む必要があります。組み立ての手順を、次の3つの観点から解説します。
・受講する人と、その仕事の作業を先に決める
・時間割を対象と対象外に分けて数える
・AIに時間割の仕分けを手伝ってもらう
それぞれ見ていきましょう。
受講する人と、その仕事の作業を先に決める
最初に決めるのは、研修の題材ではなく、受講する人と仕事の作業です。営業なら提案書や商談の記録、事務なら請求書の確認や社内の問い合わせへの答えなどです。
当社が企業向けに行っているAI研修でも、受講する人がまず自分の仕事を書き出し、AIを使える作業を探すところから始めています。部署ごとに題材を変えると、研修の時間の多くを「その仕事の作業の練習」にできます。
ただし研修の中で実際の業務に使う書類や計画を仕上げると、通常の事業活動とみなされて対象外です。先ほどの事業展開等リスキリング支援コースのご案内では、自社の業務の情報を題材にできるのは、研修会社などの外部の研修で成果物を作らない場合とされています。
社内で使っているAIツールの操作説明も、対象外の例に挙がっています。練習の材料には過去の資料や架空の案件を使い、自社で開く研修で自社の情報を使うときは、計画届の前に労働局で確かめてください。
研修の中身を部署ごとにどう分けるかは、法人向けAI研修の効果と選び方もあわせてご覧ください。
時間割を対象と対象外に分けて数える
時間割ができたら、1行ずつ助成の対象になりそうかを分けます。対象になる時間だけで10時間以上あるかを、計画届を出す前に確かめてください。
情報漏えいなどの注意点や社内のルールの説明は、AIを安全に使うために欠かせない時間です。ただし先ほどの支給要領では、社内制度の説明や仕事の種類を問わず誰にでも必要な内容が、対象外の例に挙がっています。
10時間の要件は、対象外の時間を除いた残りで数えます。注意点やルールの説明は研修に入れたうえで、10時間には数えずに時間割を組んでください。対象外の時間は、賃金の助成からも外れます。
一方で研修の経費は、先ほどの支給要領で、対象外の時間の分も差し引かずに助成の対象とされています。ただし自社で開く研修に外部の講師を呼ぶときの謝金は、対象になる時間1時間あたり3万円が上限です。対象外の時間が多いと、その分だけ謝金の上限も下がります。
AIに時間割の仕分けを手伝ってもらう
時間割の仕分けは、AIに下書きを頼めます。次の頼み方の例は、営業部の研修の時間割を仕分けるものです。時間割は説明のために作った架空の例で、当社のお客さまの事例ではありません。
頼み方の例
研修の時間割を、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の2026年8月3日からの条件に照らして仕分けてください。
条件:
・特定の職務の具体的な作業にAIを使う練習は「対象の見込み」
・職務を問わず使える汎用的な使い方、AIやDXの概念の説明、社内の決まりの説明は「対象外の見込み」
・判断がつかないものは「労働局に確かめる」とし、理由を書く
・推測で時間を足したり、時間割にない中身を作ったりしない
出力の形:表(時間割の行/時間/仕分け/理由)、「対象の見込み」の合計時間と10時間に届くかどうか、届かないときに足す練習の案3つ
時間割(受講者:営業部の社員):
1. 生成AIのしくみと注意点(情報漏えい・誤り・著作権) 1.5時間
2. 社内のAI利用ルールの説明 0.5時間
3. 汎用的なプロンプトの型(役割・前提・出力の形) 1時間
4. 過去の提案書をもとに、生成AIで提案書の構成案と文章を作り直す 3時間
5. 商談の録音の文字起こしから、議事録と次の提案のメモを作る 2時間
6. 見積もりの説明文とお客さまへのメールの下書きを作り、上長が確かめる手順を決める 2時間
7. 振り返りと、来月から使う業務を決める 1時間
出力の例(表と合計の部分を抜粋。表は行ごとに「時間・仕分け・理由」の順)
1. 生成AIのしくみと注意点:1.5時間・対象外の見込み・AIの概念と一般的な注意点の説明です。特定の職務の作業にAIを使う練習ではありません。
3. 汎用的なプロンプトの型:1時間・対象外の見込み・職務を問わず使える汎用的な使い方です。
4. 過去の提案書をもとに:3時間・対象の見込み・営業の提案書づくりという具体的な作業に、AIを使う練習です。
6. 見積もりの説明文と:2時間・労働局に確かめる・下書きを作る部分は営業の作業での練習なので、対象になりそうです。一方、「上長が確かめる手順を決める」部分は社内の決まりづくりに近く、対象外になるおそれがあります。
7. 振り返りと、来月から使う業務を決める:1時間・労働局に確かめる・AIを使う練習ではなく、計画を話し合う時間です。
合計は5時間(行4の3時間+行5の2時間)で、10時間に届きません。
行6の2時間がまるごと対象と認められても7時間です。行7の1時間まで入れても8時間で、届きません。
この例では、11時間の研修でも対象の見込みは5時間で、10時間に届きませんでした。AIは足す練習の案として、訪問前の準備や断られたときの切り返しの練習なども出しています。

この頼み方には、実際の書類を仕上げる中身かどうか、自社のツールの操作説明かどうかの条件は入れていません。使うときは、先ほどの線引きも条件に足してください。
AIの仕分けは下書きです。最後の判断は、計画届を出す前に都道府県労働局の助成金の窓口で確かめてください。
AI研修の助成金の計算例(中小企業・5人・15時間)
同じ研修でも、どのコースに当てはまるかで助成の額は大きく変わります。中小企業の社員5人が、1人12万円・15時間の研修を勤務時間内に受ける仮の例で比べます。金額は計算のための仮の数字で、研修の相場を示すものではありません。
| 項目 | 事業展開等リスキリング支援コース | 人材育成支援コース |
|---|---|---|
| 研修の経費(12万円×5人) | 60万円 | 60万円 |
| 経費の助成 | 45万円(75%) | 27万円(45%) |
| 賃金の助成(15時間×5人) | 7万5,000円(1時間1,000円) | 6万円(1時間800円) |
| 助成の合計 | 52万5,000円 | 33万円 |
| 研修の経費から助成の合計を引いた額(研修中の賃金は別) | 7万5,000円 | 27万円 |
この例は、15時間すべてが助成の対象になる中身の場合です。1人あたりの経費の助成には上限があります。先ほどの2つのコースのご案内によると、中小企業の10時間以上100時間未満の研修の上限はリスキリング支援コースで30万円、人材育成支援コースで15万円です。
助成金は研修のあとに申請して受け取るため、研修の費用はいったん会社が全額を払います。研修中の賃金も、これとは別に会社が払います。研修の費用の決まり方は、AI研修の相場をまとめた記事もあわせてご覧ください。
AI研修の助成金を受け取るまでの流れ
人材開発支援助成金は、研修の前の準備から支給の申請まで、決まった順に進めます。事業展開等リスキリング支援コースの流れは次のとおりです。
- 準備:職業能力開発推進者(社内の研修の担当者)を決め、事業内職業能力開発計画(会社の人材育成の計画)を作って社員に知らせる
- 計画の提出:研修を始める日の6か月前から1か月前までに、職業訓練実施計画届・事業展開等実施計画・対象の社員の一覧・事前確認書・カリキュラムを管轄の労働局に出す
- 研修の実施:計画どおりに研修を行い、支給の申請までに研修の経費を全額払う
- 支給の申請:研修が終わった日の翌日から2か月以内に、支給申請書と研修の実施状況の報告書、出勤簿や賃金台帳の写しなどを出す
2026年5月14日からは、支給の申請のときに「受講料等の価格設定に関する疎明書」も出す決まりになりました。電子申請には、事業者向けの共通のログインの仕組みである「GビズID」の取得が必要です。
一番遅れやすいのは、計画届の期限です。研修を始める日の2か月前までに、計画届の準備を始めると、書類の直しが入っても1か月前の期限に間に合います。

AI研修の助成金が出ない・減る主な失敗
助成金は、決まりから外れると研修のあとでも不支給になります。次のチェックリストで、申請の前に確かめてください。
- 計画届を出す前に研修を始めた、または期限の1か月前を過ぎて出した
- 研修の中身が汎用的で、対象になる時間が10時間に届かない
- 計画届と違う内容や日程で研修を行った(変わるときは先に労働局へ確かめる)
- 勤務時間の外や休日に受けた時間がある(その時間の賃金の助成は出ない)
- 研修の経費の一部を社員に負担させた
- 研修のあとも仕事で使うAIツールの利用料や、パソコンなどの機器の費用を、研修の経費に含めた
- 支給の申請が、研修が終わった日の翌日から2か月を過ぎた
人材開発支援助成金のページでは、研修の経費が実質的に無料になるような申し込みにも注意を呼びかけています。「助成金を使えば研修は無料」とうたう案内は、不正受給につながるおそれがあるので避けてください。
AI研修の助成金と補助金の違い
研修の費用を減らす制度には、厚生労働省の助成金のほかに、中小企業向けの補助金もあります。2つの違いは次のとおりです。
| 項目 | 人材開発支援助成金 | デジタル化・AI導入補助金 |
|---|---|---|
| 目的 | 社員の研修 | 業務のソフトやツールの導入 |
| 研修だけでの申請 | できる | できない(ソフトの導入と一緒なら研修も対象) |
| 申し込みの時期 | 研修の6か月前から1か月前まで | 公募の締め切りごと |
デジタル化・AI導入補助金は、旧IT導入補助金の新しい名前です。デジタル化・AI導入補助金の通常枠では、ソフトと一緒に導入研修や活用のコンサルティングの費用も対象になり、補助率は原則2分の1以内です(※2026年10月現在)。
通常枠の次の締め切りは2026年10月30日で、その後の締め切りは公式サイトで確かめてください(※2026年10月現在)。
AIツールを入れて社員に使い方を教えたい会社は、補助金でツールと導入研修を、助成金で部署ごとの研修を受けるといった分け方も考えられます。同じ費用を両方に申請できるかは、それぞれの窓口で確かめてください。
助成金の側にも、2026年4月に新設された設備投資加算があります。先ほどのリスキリング支援コースのご案内では、中小企業が研修で実際に使ったものと同じ種類の機器やシステムを導入すると、導入費用の50%が加算されるとされています(10万円以上の導入が条件。1人15万円まで、10人以上は150万円まで。※2026年10月現在)。
ただし、研修のあと1年以内に受講した社員の毎月の賃金を5%以上上げることなどが条件です。パソコンやタブレット、スマートフォンは加算の対象外です。
AI研修の助成金に関するよくある質問
まとめ:AI研修の助成金は、研修を組む前に条件を確かめよう
AI研修に使える助成金は、人材開発支援助成金の3つのコースです。助成率が高いのは事業展開等リスキリング支援コースですが、2026年8月からは、仕事に直接使わない汎用的な研修は対象外になりました。
助成を受けるには、受講する人の仕事の作業を題材に時間割を組み、対象になる時間で10時間以上を確保します。計画届は、研修を始める日の1か月前が期限です。
まずは、研修を受けてほしい社員と、その人の仕事でAIを使えそうな作業を3つ書き出してください。研修会社に相談するときも、労働局で確かめるときも、その一覧が出発点になります。
自分の会社ではどの仕事から始めればよいか、次の案内も参考にしてください。

メイカヒットでは、企業向けのAI研修と、AI経営顧問を行っています。
- AI研修:社員の方が安全にAIを使えるよう、入力してよい情報の決め方や設定の確かめ方まで、実際の画面で操作しながら学びます。これまでに5,000人以上が受講し、自治体や医師会、税理士、上場企業などでも研修を行っています。研修の内容を見る
- AI経営顧問:営業・事務・採用・社内の質問への回答など、会社の業務のうちAIに任せられる部分を、会社の仕組みとして作ってお渡しし、社員の方が使えるようになるまで一緒に進めます。
「うちの会社の場合はどう進めればよいか」といったご相談も、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。お問い合わせ種別は「AI導入・研修」を選んでください。

